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彼から貰う言葉なら。
憎しみの篭った罵詈でも構わないほどの。
彼に触れて貰えるのなら。
例えば、喰い殺されても本望だと思えるほどの。
気が狂れそうなこの想いを、サディストの彼に告げたとしたら、
嗤いながら、この想いさえ存在しなかったものにしてくれるだろうか。
どんなに叫んだって彼の心に届かない言葉なら。
それならいっそ告げずに、この気持ちをなかった事にしてしまった方が
楽だと思う。
自分の気持ちを誤魔化すことも、自分に嘘をつくことも、
そろそろ慣れてきた。
慣れてきたからこそ、辛くなる。
もう、疲れているのは事実だろう。
「…こんなに、好きなのに」
それを、告げたら。
僕も、好きだよ。
なんて。
あの笑顔で、あの声で、そう言ってくれるんだろう。
この言葉が、彼の心に届いていなくても。
「セーンパーイ」
軽快な声色。
駆けてくる足音も、声色同様何処か軽快で妙に気にかかる。
「あー?何?」
「おめでとーございまーす」
「は?」
一瞬。
何を言われたか解らずに呆けたベルに、フランは続ける。
「隊長に聞いたんですけどー。今日センパイの誕生日とかって」
「祝いに来たってワケ?気ィきくじゃん」
「いえ、冷やかしに」
「王子、肉食いてー」
さらりと返すフランの言葉をあえて聞かなかったのか、
無視をするように言葉を遮ってそう告げる。
「ちょ…待って下さいー。コーハイにたかるつもりですかー?」
「誕生日だし」
うしし、と笑ってベルが告げる。
「えええ、そんなぁ」
冷やかしだったのに、と。
文句を言うフランを見て。
ベルはもう一度面白そうに笑った。
「何が欲しい?」なんてワザとらしく訊かれて、
その言葉に意地になる。
休暇と自由が欲しいです、と。
一言だけ告げて、話を終わらせた。
「あなたと2人で過ごす誕生日がほしい」なんて
そんな本音、絶対言わない。
「…ジンジャー、アンタはどうすんのさ」
アイリスが、爪を整えながらジンジャーにそう問いかける。
相手の返事がどうであろうと、自分の行動に影響は及ぶことはないけれど。
ただ、何気に訊いただけの問いに、ジンジャーはふと微笑んだ。
「…決まってんじゃん」
「…野暮だったよ。執心してるんだっけ、アンタ」
「そういうコト」
嬉々としたような声色にアイリスは軽く肩を竦め、ため息を吐く。
「…程々にしときな」
「できたら、ね」
デザートが恋しい、14:30。
苦めの紅茶と飲み干すのは、白く咲く恋のオハナシ。
あるいは。
胸焼けしそうな甘ったるい妄言。